今回は、AutoCAD(オートキャド)に関するスキルの中で、最も大切だと私が考えている部分についてお話をしたいと思います。

一番身につけて欲しいと考えているスキルは、ズバリ表現すると作図スピードです。これは非常に重要で、なおかつ一番身に付きにくいスキルです。

そして、仕事の効率とお金に直接影響してくるスキルでもあります。でも、こうした部分はあまりガイドブックには書かれていません。

ガイドブックでは「こうした機能があります」とか「設定方法はこうします」という内容はあっても、「この操作の方が手順が少ないので操作がスムーズです」といった内容は少ないです。

これは何故でしょうか?

こんなコマンドがあるとか、機能については使ったことがなくても調べれば解説することが出来ます。でも、作業上のちょっとしたコツなどは、実務経験が豊富でなければ絶対に解説することなんて出来ません。

全てのガイドブックを読破した訳ではないので断言することは出来ませんが、やはりガイドブックにはそうした傾向があります。

一般的なことを全て網羅しなければならないガイドブックでは、作図スピードをアップさせる方法についてまで書くことが出来ないのではないかと思います。

本当は一番大事な部分なんですけどね。

■スピードが大事な訳

では、どうして作図スピードが大事なのでしょうか。
何となく察することはできると思いますが、ここでもう一度確認をしておきましょう。

在宅で仕事を受注している方は、例外なく枚数か時間での請求をするはずです。それ以外の要因では、離れた場所で働いている人間の働きをチェックできませんから。

つまり、図面1枚あたりの単価、あるいは図面1枚で何時間か、という事ですね。でも、これはどちらも同じことで、図面1枚の単価がそこで決定されるということになります。

図面1枚の単価が決まっているということは、1枚にかかる時間が少ない程時給が高いと言うことができます。
さらに言えば、作図スピードが早ければ仕事量を増やすことが出来る為、全体の収入も高くなります。

時間給の場合は、決められた時間より早く作業を完了させることにより、結果として時給が上がることになります。8時間予定の図面を6時間で終わらせれば、2時間分は上乗せという形になりますから。

もちろんそれは在宅勤務をしている場合で、会社で仕事をしている場合にはそうした「上乗せ」的な話は出来ないのですが…。この場合の話はこれからします。

とまあそんな感じで、作図が速いというのは本当にメリットが多いということが分かると思います。

■会社に勤めていても

在宅勤務ではなく、実際にどこかの会社に所属している場合についても、基本的には同じです。在宅であっても会社であっても、もちろん作業は早いほうがいいに決まってますから。

無駄な残業が減る(収入減の可能性もありますが…)こと、出来る仕事のボリュームが増加することなど、メリットは非常に多いんですね。

ですが、最もポイントが高いのは、もっと早く作業が出来るところを80%の力で作業することが出来る、という部分です。

作図スピードをアップさせる事によって発生するメリットの中で、私はこれが一番大きいのではないかと思っています。

仕事をしている方なら分かると思いますが、常に100%の力を出し続けることは難しいです。人間の集中力には時間による限界があり、それは気合だとか栄養ドリンクだとかでは補充出来ない種類のものです。

でも、100%の力を出せない時でも仕事はきちんと進んでいく。こうなってしまえば作業自体は非常に楽になるはずです。

時速100キロで並んで走っている2台の車でも、最大200キロ出せる車と120キロしか出せない車とでは全然違います。

余裕があるかないか、という違いは非常に大きいです。

そして、いざという時には時速200キロで走ることが出来る、という部分も大きなメリットです。そんな余裕を持っている方が有利に決まっていますよね。

という訳で、今これを読んでいる皆さんには、ぜひともスピードというスキルを身につけて欲しいです。そこには、きっと楽しい世界が待っているハズですから…。