前回はオートキャド(AutoCAD)における文字の基準点について、色々なパターンがあるということをお話ししてきました。

今回はその続きということで、文字の基準点を変更するのはどんな場合かについて考えてみたいと思います。

「変更するのはどんな場合か」と言うくらいですから、オートキャド(AutoCAD)で図面を作図する際には、標準の基準点である左寄せを使うことが基本になってきます。

これをまずは覚えておきましょう。

以前も同じようなことをお話ししましたが、文字の基準点については左寄せが最も手描きの感覚に近いです。
そして、感覚的に分かりやすい方が、絶対に作業は楽なんですね。

そういった作業性を考慮すると、やはり基準点はあえて変えない方が便利だということになる訳です。

■基準点を変更する状況とは

では、あえて基準点を変える状況というのはどういった場合なのかをここでは考えてみましょう。

・表やリストを作成する場合
オートキャド(AutoCAD)で作図をするといっても、全てが平面図などの図面である訳ではありません。

建築や設備、土木などの業種によっても多少違うと思いますが、何らかの一覧表やリスト(どちらも同じような意味ですね…)を作成する場合も結構あると思います。

どんな一覧表かというと、図面リスト・面積表・仕様書・仕上表・性能表など、本当に色々です。私が建築系なので、例として出した一覧表も建築関連がほとんどになっていますが、きっと他にもたくさんあると思います。

もちろん一覧表関係はEXCELなどで作成する場合も多いのですが、使用するソフトを増やすことを避ける為にオートキャド(AutoCAD)で作成することも多いです。

そういった表を作成する際には、数字を右寄せにしたり、欄の中央を基準点にしたり、欄の中で均等割付をする為にフィットを選んだりと様々な活用方法があります。

ちなみに、表などを作成する際には「ゴシック体」などのTrueTypeフォントを使用することをお勧めします。やはりTrueTypeフォントで書類を作成すると、ビシッとした書類が出来ますから。

・寸法
これは作図者がコントロールする訳ではないので、厳密に言うと少し違うような気もしますが、基準点が左寄せ以外のパターンということで取り上げてみます。

既に何度かお話ししていますが、オートキャド(AutoCAD)の寸法線というのは自動寸法記入という機能がついています。

オートキャド(AutoCAD)だけではなく、ほぼ全てのCADについている機能でしょう。

寸法線を入れる範囲を選択するだけで、自動的に距離や角度を計測して数字を記入してくれる機能。簡単に説明するとそういう機能です。なかなか気が利いてます。

そして、この寸法線の文字に関してだけは、基準点が「中央」に設定されています。どうして中央なんでしょうか。

理由は自動寸法記入機能にあります。

寸法線を引く為に2点をピックすると、その間の寸法線が自動で作成される訳ですが、どの距離を選んだとしても、必ず2点間の中央に数字が配置されます。

文字が重なるなどの問題はありますが、寸法線の中央に文字が配置されるというのは図面の基本的なお約束です。なのでオートキャド(AutoCAD)でも自動で中央に配置するようにしているんですね。

2点の中央に文字を配置する。これが、寸法文字の基準点だけが左寄せではなくて中央になっている理由です。
数字の桁をいくつでも中央に配置する為には、左寄せという設定ではちょっと難しいのでしょう。

■まとめ

もう「まとめ」になってしまいました。文字の基準点を変更する必要がある場面は、たくさんお話ししなければいけない程には多くない、ということでしょう。

文字の基準点についての基本的な考え方、そしてその上手な使い方。

これは、先程お話しした、寸法文字の基準点が中央である理由をじっくりと考えると、何となくわかってくるのではないかと思います。

文字の数が異なる場合でも、固定したい点はどこか。これを考える訳ですね。なんだか当たり前の結論になりそうですが。

表を作成する場合も、寸法線の文字を記入(自動ですが)する場合も、どこを固定するとキレイにまとまるかを考えています。その考え方が基準点に反映されている訳ですね。

何文字の言葉でも欄の中央に配置したい。寸法値が何桁の数字でも中央あるいは右寄せで配置したい。文字の基準点というのは、結局そういう要望を満たす為にある機能である、ということになりますよね。

そのあたりを意識しながら基準点を使ってあげると、見やすい表や図面がスムーズに出来上がります。

細かい話ではありますが、覚えておけばきっと使う機会がやってくるはずなので、ぜひとも覚えておくことをお勧めします。