スクールの営業テクニック

二級建築士の試験勉強を順調に進めていった私は、もう資料を渡してくれたスクールのことなど頭にありませんでした。

問題集をこなすうちに、「多分学科は大丈夫だ」という手応えをつかむことが出来ましたし、特に不安な要素もありません。

最後の1ヶ月は少しペースを落とし、あまり体力を消費しすぎないように気をつける位の余裕が出来ていました。

後は製図試験をどうやって攻略するか、というあたりを意識し始めた頃、私の携帯電話に見知らぬ番号から電話がありました。



■見込み客としての私

電話に出ると、相手は以前資料をくれたスクールの担当者からでした。

「どうですか、勉強は順調ですか?」

私は当時の気持ちを微妙に思い出し、やや気分を悪くしながら「ええ、おかげさまで」と答えます。

「ではそろそろ製図試験対策を考えてはいかがでしょうか。学科試験の合格を待っていたのでは間に合いませんから…」

そうなんです。私はスクールにとって魅力的な「見込み客」だったことを、今さらながらに思い知らされました。

確かに学科に関しては余程のことがない限り合格するだろうという思いがありましたが、それが製図試験になると話は全然違います。

「今から準備をすれば、確実に合格を目指すことが出来ますよ」

そんな魅力的な話に、独学でパスしようと思っていた私の気持ちも揺れ動かざるを得ません。

「どうですか?一度話だけでも聞いてみては…何でも相談に乗りますよ」

別にそのスクールは悪徳商法をしている訳ではありませんから、そうした話に乗ってスクールに通って悪いことは全然ないです。

ただ、「独学で」と思っていた私の気持ちが揺れるくらいですから、相当な商売上手であることは間違いありません。

まあ最終的には話を聞くこともしませんでしたし、スクールに通うこともしませんでしたが。

■来年も見込み客か

そうしてまた月日が経ち、めでたく学科試験をパスした私は、製図試験を1ヶ月後に控えていました。

確か夏の終わりくらいでしたか…学科試験を終えた私は合格を確信しましたから、すぐに製図試験の準備に入るつもりでいました。

でも、半年以上も勉強を頑張ってきましたので、少し羽根を伸ばしたいと思ってしまったんです。

想像が付くと思いますが、この「休息」が良くありませんでした。

一度苦労をして作り上げた勉強のリズムを崩した私は、1週間だけと思っていた休息をずるずると伸ばしていくことになったんです。

そこにタイミングが悪く仕事の忙しさも重なって、私は何の準備も出来ていない状態で試験1ヶ月前を迎えることになりました。

まあはっきり言って考えられる最悪の状態です。

いくら日頃オートキャド(AutoCAD)で図面を作図しているとは言っても、手描きのスキルを磨いている訳ではありません。

さすがに私も、これから製図試験の準備をして合格出来るかどうか、全く自信がない状態でした。

そんなとき、またスクールから「製図試験の調子はどうですか」という電話があったんです。

製図試験対策でスクールに通うことを断った私は、ちょっとばつの悪い気がしつつ「これから勉強です」と言いました。

本当は「ばっちりです」と言いたかったのですが、ここで見栄を張ってもまるっきり意味がありませんので正直に話すことにしたんですね。

そうすると、スクールの担当者は私に対し、思いもよらない方法で激励の言葉をかけてくれたんです。

本当に、今でもはっきりと思い出すことが出来るくらいに。

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