私は製図試験を1ヶ月後に控え、ようやく本格的に準備を始めました。

最初に作図した図面は完成度も低く、作図にかかった時間も全然遅いという結果になり、この状態から合格するイメージがどうしても掴めなかったことを記憶しています。

最初の図面にかかった時間は12時間で、そこから試験の制限時間である4時間30分まで、あと7時間30分以上もの時間を短縮する必要があるんです。

簡単な計算をすると、今の3倍の早さで作図をしなければならない、ということになります。

さすがにこの時は自分の準備不足を後悔し、スクールに通った方が良かったかも知れないという思いも頭をかすめました。

■やればやるだけ慣れる
そんな絶望的な状況でも、受験を諦める訳にはいきません。

独学で合格を目指した以上は例え不合格だったとしても、独学が無理だったのかあるいはその他に原因があったのかなど、何かしらの結果を出さなければ次に進めませんから。

人間というのは不思議なことに、同じことを続けていればその分だけ学習して慣れてくるもので、図面を10枚作図した頃には作図時間が6時間前後になってきたんです。

これは大きな進歩です。

ただ、なにせ独学ですから、作図した図面を採点をしてくれる人がいないという決定的な弱点がありました。

作図時間は短縮出来たものの、本当にその作図方法で良いのかが分からないまま、それでも作図を続けなければ合格は出来ない。

そんな精神的なキツさを乗り越えて、図面を20枚作図した頃には作図時間が4時間を切る位になりました。

最終的には30枚くらいの図面を作図して、平均で3時間30分から4時間くらいの間で作図が出来るようになりました。

図面の完成度は完璧ではありませんでしたが、作図を完了することが出来ますので、採点の対象にはなります。
つまり、一応試験を受ける価値がある、という状況まで進んできたということになります。

やれば出来るものだと、私も少し驚きながらこの進歩を実感していたことを良く覚えています。

■スクールとの関係
結果として私はその年の試験で無事に合格することが出来ました。

書いていくうちに非常に長い話になってしまいましたが、このサイトでお話ししたいのはもちろんそんな結果ではありません。

自分で勉強することとスクールとの関係や、スクールに通わないで独学をする事のデメリットなどを、私の体験から少しでも感じて頂けたらと思っています。

独学でなにかを学ぶことはもちろん可能だという話と、社会人であればやっぱり時間管理とかで苦労をするという話と、まあどちらもあります。

そして、あまりにも売り込みの激しいスクールはやめておいた方が良いかも知れない、という点。

二級建築士の資格を取得してから「実務経験4年以上」で、今度は一級建築士の受験資格を満たすことが出来るのですが、私がその受験資格を得たときには、きっちりそのスクールから電話がありました。

「あなたのような人にこそ一級建築士試験を一発合格して欲しいので、ぜひ話だけでも聞いて頂けませんか…」という感じです。

「ああ、そうなんですか」としか言いようがありません。

でも私は当時の担当者の半笑いを今でも覚えていますので、もしスクールを選ぶとしたら別のスクールを受講するでしょう。

スクールはひとつではありませんし、その中からどのスクールを選ぶかは私の自由です。
冷たいかも知れませんが、お客さんの心理としては当然のことではないでしょうか。