AutoCAD(オートキャド)で図面を作図し始めるにあたって、線を引くよりも先にやっておかなければならないことがあります。

作図前の設定は大体終わりました、というようなお話しをしてきましたが、いざ作図を開始すると、すぐ設定の話に戻ってきてしまいますね。

でも、「作図をしながら設定を覚えていく」という形が一番分かりやすいですから、しばらくは作図コマンドと設定を行ったり来たりしながら進めていきましょう。

という訳で、今回は線を引く前に設定をしておきたい項目である「縮尺の設定」についてお話しをしたいと思います。

■紙サイズの確認

AutoCAD(オートキャド)の縮尺設定では、紙のサイズが重要なポイントになってきます。ですから、ここでは紙サイズについてまずお話しをしましょう。

図面は紙に印刷して使いますから、どんなサイズの紙に印刷するのかを知っておく事が、縮尺の考え方を理解する上で必要になってきます。

図面はA1サイズの紙を使用するのが一般的ですが、完全に標準という訳でもありません。業種によってはA2だったりA3だったりします。ひとまずA4まで覚えておけば大丈夫でしょう。

大きさは以下の通りです。単位はミリとしています。

A1:841×594
A2:594×420
A3:420×297
A4:297×210

紙のサイズについての詳細は紙のサイズについてでお話ししていますので、そちらを参考にして頂ければと思います。

■縮尺の考え方

紙のサイズを踏まえた上で、縮尺についての考え方をこれからお話ししていきますが、このあたりはAutoCAD(オートキャド)に限らず複雑な話になってしまいます。

…が、特にAutoCAD(オートキャド)は面倒だと思われているようです。

AutoCAD(オートキャド)が好きではない人(結構多いです…)は、大抵この縮尺の考え方が合わないみたいです。自由度が高いので、なかなかとっつきにくいのは確かですが…。

でも、一度覚えてしまえばなんてことない話ですし、結局は避けて通れない項目ですから、ちょこっと気合を入れてマスターしてしまいましょう。

それでは…。
先程もお話ししましたが、図面は通常、紙に印刷して使います。

紙のサイズはそれほど大きくないですから(A1でも841×594)紙よりも大きなモノ、例えば建物などは、実際の大きさよりも縮小しなければ全然入り切りません…

縮尺の考え方は、まずそこからスタートします。大きなモノを小さな紙に収める為に、実際よりも縮小して作図するということです。これが縮尺の基本的な考え方です。

とは言っても、適当に縮小なんかしたら使いモノになりません。図面はスケール(定規のことです)をあてれば大きさが判るように描くことが基本ですから。

なので、縮小する比率は1/10とか1/50とか1/100とか、キリのいい数字にする必要があるわけです。

では、何をもってキリがいいと呼ぶのか。それは図面に関わる人のほとんどが持っている、三角スケールと呼ばれる定規によって決められます。

物によりますが、通常三角スケールには1/10・1/20・1/30・1/40・1/50・1/60の6種類のメモリが刻まれています。中には1/40の代わりに1/25が入っていたりしますが、それ以外はあまり変わりません。

ですからその縮尺がキリのいい縮尺という訳です。ちなみに1/10は1/1とか1/100にも使えますから、そう考えると結構色々な縮尺が使えることになります。

余談ですが、以前私は1/70とか1/150とかの「微妙にキリのいい縮尺」で図面を作図し、「へっ」と失笑を買ったり「こんなの図面じゃない」と言われたりした事があります。

やはり、実際に図面を見て使う人達は、実用的じゃない図面に対しては厳しいです。ホントに。
と…ここまではいいでしょうか。まとめると以下のようになります。

・作図を始める前にまず紙のサイズと縮尺を決める
・紙サイズよりも大きな対象物を作図する為に縮小する
・縮尺はスケールで計れるキリのよい数字とする

言葉だけで説明するのは結構ツライものがありますね。本来、と言うか今までなら、目の前で実際にやって見せて、それでも相手に首を捻られる場面ですが…。いかがでしょうか。