前回はAutoCAD(オートキャド)を含めたCAD全体の大雑把な概要についてお話しました。

パソコンを使って図面を作図するCADは、パソコンの性能によってツールとしての価値が大きく変わってくる、ということが分かって頂けたかと思います。

そして今回は、今現在のAutoCAD(オートキャド)を含めたCADの状況について少し考えてみることにします。昔に比べて今はどうなんでしょうか。

■今現在のCADとは…

今現在の話をすると、AutoCAD(オートキャド)をとりまく環境は、昔からは比べものにならないくらいに恵まれたものになっています。

まず、パソコンは安くて高性能であるという点が挙げられます。当時のパソコンなどは、今のモデルと比べてしまうと同じパソコンとは思えないくらいの差があります。

外見も非常にスタイリッシュ(古いですか?)になっています。昔のパソコンはベージュと言うかクリーム色というか…おきまりの色でしたが、今はカラフルになっていますね。

また、AutoCAD(オートキャド)も「LT」という廉価版のソフトを15万円程度で購入することが出来ます。

今読んでいる方は15万円を「高いな…」と感じるかも知れませんが、100万円単位の世界を知っている私としては、非常に安く感じます。

と言いながらも、いざ自分で買う段階になると15万円でもやはり高く感じてしまうのですが…。それでも昔と比べてしまうと、今は非常にありがたい環境なのではないかと思います。

昔なら、CADを自分で買うことなど、全く選択肢に入らなかったですから。でも今は「高いけど買おうかな」と考えることが出来ます。これは大きな違いではないでしょうか。

ちなみに、当時の私が今現在の状況を見たら、きっと腰を抜かすくらいにびっくりすると思います。パソコンなどは当時からは考えられない値段になっていますから。

■良い環境になって困ること

今まではAutoCAD(オートキャド)をとりまく環境の中で、良くなったことばかりをお話ししてきました。

技術はどんどん進歩しますから、時間が経過すればするだけ様々な分野で便利さは増していくんですね。これはごく当たり前のことと言えるでしょう。

ただし、それが良いことだけではないと言うことは覚えておいて頂きたいと思います。良いこともあれば、それとセットになって悪いことも付いてくるんです。

その中で一番困るのが、図面の単価が低くなったということです。値段が安くなり、AutoCAD(オートキャド)を一式揃えることが容易になったと言うことは、それだけ競争相手も増える、と言うことを意味します。

競争相手が増えると、当然のことながら値段的な競争も発生し、それはそのまま図面単価の下落につながる、という訳です。需要と供給の原理からは、どこまで行っても逃れることは出来ません。

そうした原理が働き、パソコンを安く手に入れられるようになったのですから、図面単価が下がってしまうことも同じように認めるしかないと思います。

今からAutoCAD(オートキャド)を覚えようと考えている方は、「AutoCAD(オートキャド)を使える」ということが絶対的な強みではないのだ、と言うことを最初に認識しておきましょう。

競争相手はたくさんいるのです。その中で勝つ為には、「使える」という売りだけではどうしても足りません。

パソコンにしても「動く」というだけではもう相手にされませんよね。それにプラスして「安い」とか「速い」とかいうメリットがあって初めて競争に参加できるのです。

それと同じようなことが、AutoCAD(オートキャド)を仕事で使うことに関しても言えるのではないでしょうか。

ですから、このサイトを利用してAutoCAD(オートキャド)を覚えようと考えている方には、覚えるだけではなく、もっと上のレベルを目指して頂きたいと考えています。

どうせ覚えるのなら、高いレベルで使いこなせるようになった方が絶対に良いですよね。少なくとも私はそう考えていますが、いかがでしょうか。