前回の話はパソコン関連の話が多くなってしまいましたが、今現在AutoCAD(オートキャド)をとりまく環境について、何となくイメージは掴めたでしょうか。

今は誰でも多少勉強をすればAutoCAD(オートキャド)をある程度は使うことが出来ます。誰でも綺麗な線を引くことが出来るのが、CADの特徴ですから。

つまり「CADで図面を描くことが出来る」ことが、それほど特殊なことではなくなりつつある、と言うことになります。誰でも出来るような作業であれば、当然それに対する報酬も低くなりますよね。

需要と供給というのはそう言った意味を持っているんです。

AutoCAD(オートキャド)は確かに便利なツールですが、それ故に誰でも使うことが出来るようになり、競争が激しくなるという流れです。

既にAutoCAD(オートキャド)を使える側からすると、少々怖い話です。

私が仕事をしていた会社の社長は、「これからCADがどんどん広まってくると、誰でも計算機を使うようにCADを使うようになるぞ」とよく言っていました。

その予想は少し外れてしまいましたが、全然的はずれという訳ではなくなって来ているのではないか…と個人的には思っています。

計算機のように全ての人がCADを使う日は…まあ来ないとは思いますが。

■手描きという作業

少し話は変わりますが、CADが一般的になる前は、どの様に図面を作図していたのかをご存じでしょうか。

…見出しに書いてしまったのですぐに分かってしまいますね。CADが普及する以前の図面は、基本的に全て「手描き」で作図をしていました。

手描きとはつまり、実際に自分の手で図面を作図することです。当たり前すぎる説明になってしまいましたが、本当に手描きは手を使った作業なんです。

今はCADが本当に主流となってしまいましたが、もちろん今でも手描きで図面を作図している人はると思います。少なくとも私の知る限りでは、非常に希な存在になってしまいましたが。

図面をビジネスとして考えた場合、ずっと手描きを続けるというスタンスがはたして正解なのでしょうか。私の考えでは、それはちょっとあり得ない話です。

従って、図面を作図して収入を得たいと考えている方ならば、当然CADのスキルを習得するという方向性になるはずです。

今はパソコンがありますから、面倒な作業は全てパソコンにやってもらう方が楽だし正確だし早いです。CADの根本的な考え方はその一点に集約されていると思います。

以前、CADのことを指して「コンピュータによる設計支援」という表現をしましたが、設計支援と言ってしまうと少し大げさな感じがします。

個人的には、手描き作業の面倒な部分を全てコンピュータにやってもらう、という表現が一番近いんじゃないかと思っています。

そして、このサイトではコンピュータを使ったツールとしてAutoCAD(オートキャド)を紹介している、という訳です。

■良い点と悪い点と

CADのルーツ(と言う程深くはありませんが…)についてはこんなレベルの知識で充分でしょう。

私のCAD全体に関する知識もこのくらいですが、仕事をしていく上で困ったことはあまりありませんので、まず問題ないと思います。あとは興味がある方が、もっと深く調べていけば良いでしょう。

昔は主流だった「手描き」という図面作図方法が、今は「CAD」というツールに変わった。

簡単に言うとこういう流れですが、ではCADは手描きと比較してどのあたりが優れているのでしょうか。次回はその点について考えてみたいと思います。