■CADとは何なのか

まず手始めに、CADって何?という話から始めましょうか。このサイトではAutoCAD(オートキャド)についてお話をしていきますが、ここではもう少し全体的な話をします。

これから覚えようとしている相手について、少しでも知っておいた方が良いはずですから、既に知っている方もおさらいを兼ねて読んでおくことをお勧めします。

もちろん読まずに飛ばしてしまっても、仕事として支障が出ることはありません。

とは言え、今後CADを使って仕事をしようと考えているのであれば、少なくとも概要くらいは知っておいた方が良いと思いますので、やはり始めにお話しすることにしました。

では…

AutoCAD(オートキャド)だけではなくてCAD全体の話になりますが、CAD(キャド)とは、 Computer Aided Design 又は Computer Assisted Design を省略して呼んだ名称のことを指します。

どちらかと言えば「Computer Aided Design」のという説が有力なようですが、正解かどうかは決まっていない感じです。あまり意味合いが変わらないので、個人的にはどちらでも良いのではないかと思っています。

意味を解釈すると「コンピュータによる設計支援」といったところになるはずです。

要するに、今までは(とは言っても既にずいぶん昔の話ですが…)手作業で行っていた設計などの業務を、これからはコンピュータ(何となく古い表現ですね)でやっちゃいましょう、と言うような感じですね。

■ひと昔前は…

ところで話は変わりますが、10年くらい前のCADをとりまく状況はかなりツライものでした。

まず、パソコンのスペックが笑えるくらい低かったので、CADの操作にかなり(というか非常に)時間がかかりました。仕事で使うツールとして、あまり頼りにならないヤツだったんですね。

また、そんなスペックにも関わらず、値段は普通に50万とか100万とかいう単位だったことを記憶しています。今の時代で50万も出せば、高いスペックのパソコンが2台~3台買えそうです。

それに追い打ちをかけるかのように、CADソフトの値段も目眩がしそうな程高かったんです。今も値段が高いCADはありますが、当時はどのCADも高かったです。

当時のAutoCAD(オートキャド)はどのくらいの値段がしたのか…これは私も覚えていません。というか、会社が買っていた物に関して、それほど興味がなかったというのが正直なところです。

自分が使うツールの価値を知らずにいるというのは、今にして思えば少々プロ意識が足りなかったのだと思います。

プリンターなどの周辺機器も同じく高かったので、CADを操作する為の設備を整えることが、当時はかなり大変だったんですね。

そんな訳で、在宅でCADというのは結構リスクが大きな仕事でした。初期費用がかかりすぎる(当時はリースがほとんどでしたが)ので、回収するまでに時間がかかるんですね。

投資した資金を回収するというのは商売の鉄則ですが、その計算を成り立たせる為にとるリスクが非常に高いんです。

何百万円ものお金をかけて導入したものの、データ量が多くなってくると止まってしまうことが結構ありました。本当にあっさりとフリーズしました。無慈悲なヤツです。

おまけに、時間が経過するにつれてもっと安くて高性能なソフトが出てきたりもします。これは金銭的にツライこともありますが、なによりも精神的にきます。

パソコンに関しては今も同じような感覚がありますが、値段が高かった分だけ、ショックは大きかったです。

その反面「こんなに高性能なものがこんなに安く買えるようになったのか…」と感心するような気持もありました。

私は決してパソコンの内部に詳しい訳ではありませんが、それでも仕事ですから、やはり高性能なパソコンを求める気持は強かったです。

■仕事としてのCAD

少々脱線してしまいましたが、当時のAutoCAD(オートキャド)をとりまく状況はそんな感じでした。

「手描きの代わりにパソコンで図面を描く」というのがCADの基本的なスタイルですが、当時のパソコンでは少々荷が重かった、ということが言えると思います。

とは言え、CADで図面を作図することによって得られるメリットは充分ありましたので、図面の作図は手描きからCADへと一気に変わっていきました。

作図する環境を整える為にお金がかかるという話をしましたが、その分だけ図面の単価は高かったです。仕事としてCADを使えるという強みは当時の方が大きかったはずですから。

「単価が高い」というのは大きな救いでしたね。高くて持っている人が少ないので、CADで図面が描けるというのが強力なメリットだった、というのがその理由です。

ですから当時は「CADを使えます」というだけで仕事に困ることはありませんでした。そうした時代の流れを読み、人よりも先に覚えてしまった人にとって、それはきっと良い時代だったことでしょう。

今回はここまでにして、次回は今現在のCADをとりまく状況について少し考えてみることにしましょう。