今までの何回かで、プルダウンメニューとアイコンの特徴についてお話をしてきました。

これらの機能は画面上からコマンドを選択するタイプである為、どうしても画面内から使いたい機能を選ぶという操作が発生してしまいます。これはもう仕方のないことでしょう。

ですから、操作スピードを上げる為には、いかにして速くて正確なクリックをするかが重要になってきます。
言うのは簡単ですが、実際に挑んでみると非常に難しいということに気が付きます。

以前にもお話をしましたが、私のマウス操作はあまり繊細ではありません。スピードを求めると正確さが失われてしまい、正確さを心掛けるとどうしても遅くなってしまうという、情けない状態なんです。

でも、世の中にはもっと出来る人がいるんですね。という訳で、今回は説明的な話ではなく、私の体験した話をしたいと思います。

操作を覚えるのも大事ですが、たまには息抜きをしないと長続きしませんからね。

■操作の早い人

かなり昔の話になりますが、私の所属していた会社で、とてもAutoCAD(オートキャド)の操作が早い人がいました。

私の方が経験年数が長かったのですが、彼女に作図スピードにはどうしても敵いませんでした。また、図面の正確さも際だっていました。

「正確かつ早い」という理想的なスキルを持っていたんですね。当時の私はそこそこ早いかな?くらいの状態でしたので、とてもではありませんが勝負になりませんでした。

会社の同僚としては頼りになる存在ではあるのですが、やはり技術屋としては「負けたくない」という気持がある訳です。何とか彼女の作図速度を超えたいと思ったんです。

そこで、操作している時にこっそりと後ろから覗いてみました。彼女の早さの秘密がどうしても知りたかったんですね。

「覗き見なんて器の小さいヤツ…」と思われるかも知れませんが、他人の良いところを真似するのは、決して汚いやり方ではありません。他人の良いところはどんどん取り入れるのが正解です。

だったら堂々と見せてもらえば良いじゃないか、という声が聞こえてきそうですね。でも、自分が逆の立場になるとよく分かります。後ろでじっと見られると、とっても仕事がやりにくいんです。

教えてもらうのに邪魔をしちゃマズイよな…と思って、私はあえてこっそり見たんです。まあ偉そうに言えることではありませんけども…。

話がまた逸れたので元に戻しましょう。

後ろから見ていると、彼女はアイコンを選ぶのが非常に早かったんです。もうびっくりするくらいでした。

どうやら画面をじっくり見ないでも自由にアイコンをクリックできるようです。これが彼女の早さの秘密でした。

覗き見をしたおかげで、AutoCAD(オートキャド)を早く操作するコツを知ることが出来たんですね。…と、一瞬喜んだのですが、それはあまり効果的なものではありませんでした。

だって、画面をあまり見ないでアイコンを迷わずクリックするなど、私には出来ませんから。やってみると分かりますが、そうそう簡単には出来ません。

もう感覚の世界です。今カーソルがある位置と、マウスをどれだけ動かすのか、という感覚。私も結構チャレンジしましたが、あっさりと挫折しました。

これはかなり難しいです。個人的には「至難の業」と言いたいです。

結局のところ、彼女は結婚をして退職をしてしまいましたが、最後まで作図速度で私が勝ったことはありませんでした。そこまでの差があると、競争する気も起きないものですね。

■出来ることをやる

というように、世の中には普通考えられないようなことを平気でやってのける人もいます。

その操作方法を自分のものとする為に、どれほどの労力を注ぎ込んだのかは分かりませんが、少なくとも私には簡単にやっているように見えました。

でもそれは、一般人である私にはとてもじゃないけど真似できません。これは「諦める」とか「負けを認める」とか、そう言った次元の話ではないと思います。

ただし、方向性に関しては参考になると思っています。

早い人はやはり少ない手順で作業をしている、ということです。先程お話しした彼女の場合、アイコンを使った手順の中で、2番目の「アイコンを選び」を省略していますよね。

その方向性を、私にも出来るやり方で実践していけば、きっと良いことがある。当時の私はそう思いました。具体的な内容は追ってお話ししていきたいと思いますが、それは間違いではありませんでした。

もう何年前の話かも思い出せませんが、彼女の操作は良く覚えています。それから私も経験を積みましたが、今の私でようやく彼女と競争できるかどうか、というところだと思います。

「上には上がいる」という言葉がありますが、本当にそうなんですよね…。