忙しくオートキャド(AutoCAD)の仕事をこなしながら、少しずつスキルを高めていった私は、ようやくある程度の手応えを感じるようになってきました。

その間、大体半年くらいでしょうか。

オートキャド(AutoCAD)を使って図面を作図するという仕事に関しては、大体のことが分かったという手応えです。

元々は自宅で仕事をする為にスキルアップをすることが目的でしたから、最初の思惑からすれば「もう充分」という感じだった訳です。

でも、今まで必死に仕事をしてきた中で鍛えられてきた私は、もうそこまで甘い考えを持つことが出来ませんでした。

■オートキャド(AutoCAD)のスキル

オートキャド(AutoCAD)を使った仕事に就いた私は、とりあえずオートキャド(AutoCAD)を覚えることが出来ればOKだと思っていました。

その為に未経験OKの仕事を必死で探したのですから。
オートキャド(AutoCAD)は図面を作図・修正することが出来る、非常に多機能で便利なツールです。

多機能であるが故、自由自在に操作をする為にはそれなりの修練が必要で、それが出来るスキルと持つことで仕事が成り立つ訳です。

繰り返しになりますが、当時の私は、とりあえずそこまでは到達したという手応えを感じていました。

忙しく仕事をこなしたおかげで、作図のスピードと正確さの両方で、たいていの人には負けない自信も持っていました。

もちろん上には上がいますので、きっと私よりも上手にオートキャド(AutoCAD)を使いこなす人はいるでしょう。

でも実際問題として、作図完了までの時間を数秒単位で競う訳ではありませんので、私くらいのスキルを持っていれば充分ではないかと思います。

それ以降で必要となってくるのは「早さ」ではなく「正確さ」と「ムラがないこと」です。

ですから、オートキャド(AutoCAD)を操作するということことだけを考えるのなら「そろそろOKかな…」と。

そういう手応えだけは感じていました。

■どんな図面を描くの?

オートキャド(AutoCAD)のスキルを高めた私は、それでも仕事を辞めて独立することが出来ませんでした。

実際の仕事はオートキャド(AutoCAD)のスキルだけで済む程甘いものではないということを、仕事をしながら私は肌で感じていました。

もちろん作図スピードを高める為に色々と努力をすることは大事ではありますが、仕事はそれだけでは済まないんですね。

オートキャド(AutoCAD)を使ってどんな図面を描くのか、あるいはどんな図面を描くことが出来るのか。

今度はこのテーマが私の前に壁として出てきた訳です。それが独立をしない大きな理由でした。

未経験から私を鍛えてくれた人に対してまだ恩を返していない、という感情的な理由もありました。
でもそれ以上に、まだ自分の能力が全然不足しているという理由が大きかったと思います。

オートキャド(AutoCAD)を操作することが出来るだけでは、上手に線を引くことしか出来ないということと変わりないんですね。

もちろんそれが出来ることは素晴らしいことですし、その時はそれで実際に仕事をしていた訳ですから、問題ないと言うことも出来るはずです。

でも「一生それだけでやっていけるか」ということを考えると、私はちょっと自信がありませんでした。

「一生それでやっていけるか」など誰にも分からないことですし、独立をしないいい訳をしているのかも…という気持もありましたが、とにかく自信が持てないことに踏み切る勇気は私にはありませんでした。