CADの特徴として前回は以下の点についてお話をしました。

1.作図自体に熟練はあまり必要ない
2.修正の手間は変わらないが、消す作業は楽である

何となく概要は掴めてきたでしょうか。今回はその続きをお話ししたいと思います。

3.データでの管理
CADは手描きと違い、紙ではなくデータで図面を管理します。紙とデータ。これは非常に大きな違いです。

データは自由にコピーすることが可能ですから、修正する前のデータと修正した後のデータを両方残しておく、ということも楽に出来ます。

このあたりの使い方は、使う側の知識とテクニック次第でどうにでもなります。せっかくデータがあるのですから、出来る限り有効に使いたいものです。

ただし注意が必要な点がひとつだけ。間違ってデータを消してしまうことも「時には」ある、ということを覚えておきましょう。

データは紙と違い、多くの場合跡形も残りません。データの有利な点が裏目に出るのはこういう場面ですね。

ですから、データの管理は非常に重要なポイントになってきます。下手をすると何日分かの作業が一瞬で消えてしまうという大惨事が発生します。

こういう時、コンピュータは非常に事務的な処理しかしてくれないんだということを痛感します。考えてみると当たり前の話なのですが、もう少し心配してくれても良いのに…と思ったりします。

そんな訳で、目の前が真っ白になるという悪夢を一度体験してみたい!という奇特な方以外は、データの管理をきちんとすることが必要になってきます。

余談ですが、同じ図面を(消えてしまった為)もう一度作図しなおすと、2回目は前回に比べてかなり速く終わります。これは図面データを消してしまって初めて実感することかも知れません。

私は何度か体験済みですが、あまり体験して欲しい種類のモノではありませんので、お勧めはしません。

4.ちょっとの修正でも…
CADとは図面を作図するツールであり、図面は誰かが「見る」為に作図されます。従って、CADでの作図が完了したら、実際に印刷して使う段階となります。

印刷の具体的な手順は後ほどお話しするとして、ここでは印刷した後の状況について少し考えてみたいと思います。

CADで作図 → 印刷 という一連の流れを経験している方ならばよく分かると思いますが、図面が完成していざ印刷をしてみると、画面で見た時には気付かなかった間違いがあったりします。

数字1個だけ間違えてたり、仮に引いておいた線を消し忘れていたり(私はよくこれをやらかします)というのはよくある話です。…よね?

そうするとCADでは、CADソフト立ち上げ → 図面を開く → 図面をちょこっと修正 → (必要なら)もう一度印刷 → データ保存 → 終了 という手順が必要になります。

言うまでもありませんが、数字1個だけ修正するにしては手順が多すぎて面倒なんですね。

でも、これをやらないで、とりあえず印刷された図面だけを修正してごまかすと、さらに修正が出てきた時に訳が分からなくなってしまいます。

紙の図面とデータとで情報が違ってくる訳です。何日かすると、どちらが正しいのか絶対に思い出せなくなります。人間の記憶は自分が思うよりも不正確ですから。

こうなると様々な情報が混在し、何がなんだか分からなくなってしまうんですね。これははっきり言って最悪の状態です。作図者として、これだけは避けなきゃダメです。

その為には、印刷した図面を修正した場合、必ずその場でデータも修正しておくクセをつけておく必要があります。今できることはすぐにやる姿勢が肝心ということですね。

少々脱線してしまいましたが、図面の修正作業が少ない場合でも、CADでは一連の手順を踏む必要がある、ということがここでは分かると思います。

■まとめ

大雑把ではありますが、CADの特徴はこんなところです。手描きの時と同じように、簡単にまとめてみましょう。

・線や文字を記入する技術はあまり必要とされない。
・文字変換間違いには注意が必要。恥をかく事も…。
・図面修正の手間は同じでも、消す作業は非常に楽。
・データ管理をしっかりとすれば、活用の巾が広がる。
・ちょっとの修正でも印刷し直しをすることになる。

CADを使うことによって、手描きでは出て来ないような問題が発生するということが、ここではよく分かるのではないでしょうか。

特に文字の変換間違いはよくある問題です。笑える誤変換を発見するのは、ちょっとした楽しみではあるのですが、やはり仕事ですから笑ってばかりはいられません。

余談というか、少々どうでもいい話ですが、徹夜が続くと大抵の人は笑い上戸になります。そんなときにヘンな変換が出てくると、全員笑いが止まらなくなってしまい、困ることがあります。

笑っている本人達は結構楽しいのですが、ちょっと異様な風景なので周りの人は確実に引きます。気をつけないといけませんね。

という訳で、CADの特徴に関してのお話はこのあたりで終わりにしておきます。

自分でAutoCAD(オートキャド)を使っていく中で、各人が色々思うところもあるはずですが、その前段階としてこんな特徴があるということを覚えておきましょう。

今からAutoCAD(オートキャド)を覚える方は、もちろん手描きに比べて便利かどうかなど関係ありませんが何の為にCADが存在しているのかを知っておいても良いのではないでしょうか。