人にオートキャド(AutoCAD)を教えながら仕事をすることに挑戦した私は、結局自分が思うような成果をあげることが出来ませんでした。
でも、やはり人間はどんなことにも慣れていくものです。「慣れる」という人間の能力は本当にすごいと思いました。
理想的な結果を得ることは出来ませんでしたが、人にオートキャド(AutoCAD)を教えることについては何となく「慣れてきたかな…」というような感覚を掴んでいました。
そしてその中で、もうひとつ思ったことがありました。
■相手あってこそ
人にオートキャド(AutoCAD)を教えるというのは、当然相手がいて成り立つことです。
従って、私だけが頑張っても相手に覚える気がなければどうしようもない、ということに気が付き始めたんですね。
「そんなことも知らなかったの?」と思われてしまいそうですが、もちろん最初からそうしたことは知識として知っていました。
でも今回実際に体験したことで、それを自分の体験として知ることが出来た、という感じですね。
知識として理解していることと、自分の経験をもとに理解していることとでは大きな違いがある訳ですけど、そうした事実を自らの経験で納得したんです。
自分で疑問に感じないことを説明されても、やはりどうしてもインパクトが小さいというかイメージしにくい為、なかなか覚えることが出来ません。
逆に自分でオートキャド(AutoCAD)を操作してみて「これをやる為にはどうしたら良いのか?」に悩み、その後で答えを見つけた場合には、恐らくもう忘れることはないでしょう。
色々な人に対して同じような教え方をしてきたにも関わらず、覚えるスピードが人によって全然違ってくるのは、こうした理由があるのだと思いました。
ですから、私が一人で「理想的な教え方」などと考えても、それが実現するはずなんてないんですよね。
「完璧に教えなければ」と思うほど、現実とのギャップに苦しむことになります。
オートキャド(AutoCAD)を覚えるのは私ではないのに、何を苦しむのか?と、今では思います。
多少手抜きくらいの感覚でいた方が上手くいき、気合いを入れすぎると私の理想を押しつけてしまって上手くいかない。
それを知った時、人にオートキャド(AutoCAD)を教えながら仕事をすることが別に苦ではなくなりました。
これは大きな前進と言っても良いのではないかと思います。
■教えることの効果
これまで長いことオートキャド(AutoCAD)の操作を教えることに悪戦苦闘してきた私は、ここでさらに新たな発見をする事になります。
自分の持っている知識を人に伝えることで、自分自身の知識が整理され、結果としてスキルが高まるという発見です。
自分自身が今まで乱雑に積み上げていったオートキャド(AutoCAD)に関する知識は、残念ながらそのままでは人に伝えることが出来ません。
ですから出来る限り分かりやすく伝えようとして情報を整理する必要があるのですが、これが意外にも自分のスキルアップに役立っている。
これは今でこそ当たり前だよねとか思いますけど、当時の私には本当に意外で、全然思ってもいなかったことだったんですよね。
そうしてなんだかんだ言いつつ、オートキャド(AutoCAD)を教えながら仕事をする事にも慣れた私は、また少しずつ自分のキャリアについて考え始めました。
自分のスキルと出来ること出来ないことが分かってきた訳ですから、「これからどんな仕事をしていくのか」という非常に根本的な疑問に対して、そろそろ逃げる訳にはいかなくなってきたんですね。